大川栄策全曲集 高山の女~新録音~

大川栄策 大川栄策全曲集 高山の女~新録音~歌詞
1.高山の女(ひと)

~新録音~
作詞:仁井谷俊也
作曲:大沢浄二

浅葱色した 紬が似合う
どこか淋しい ひとだった
あなたの胸で 死ねたらいいと
泣いてすがった 細い指
おまえに逢いたい 高山の女

妻と呼ばれる 暮らしが欲しい
酔って甘えた 夜もある
長い黒髪 解いて燃えた
遠いあの夜の 恋花火
今でもひとりか 高山の女

暖簾くぐって 地酒に酔えば
何故か空似の ひとばかり
やさしい笑顔 小さな肩を
抱いてやりたい もう一度
おまえに逢いたい 高山の女


2.沈丁花

作詞:田久保真見
作曲:桧原さとし

きっとおまえは 待っていてくれると
今もどこかで 信じてるのさ
遠いあの日の ああ 沈丁花…
ふたり暮らした 小さな部屋の
窓辺にはかなく 咲いていた

そばにいるなら 哀しみも痛みも
幸せだからと おまえは言った
甘い香りの ああ 沈丁花…
まるでおまえの 吐息のように
夜ふけの心に 忍び込む

いつかおまえに もう一度逢えたら
泣かせてやりたい この手に抱いて
白い花びら ああ 沈丁花…
まるでおまえの 涙のように
さみしくはなかい 落ちてゆく


3.駅

作詞:たかたかし
作曲:市川昭介

つれて行けない 別れのつらさ
駅灯(あかり)に背を向け ひとり泣く女
赤いコートに 降る雪の
雪の白さが目にしみる プラットホーム
汽車がくる
汽車がくる 雪国の駅

出来るものなら 切符を捨てて
この手で涙を 拭いてやりたいよ
君と一緒に いるだけで
おれは優しくなれたのに いつまた逢える
さよならの
さよならの 雪国の駅

伝えきれない 想いをのこし
汽笛がひと声 空に凍りつく
青いシグナル 舞う雪に
君の姿が消えてゆく 夜汽車の窓よ
遠くなる
遠くなる 雪国の駅


4.風港

作詞:松井由利夫
作曲:伊藤雪彦

とぎれとぎれに 汽笛が咽ぶ
夜風 潮風 別れ風
濃い目の化粧で 隠しても
潤んで見える おまえの睫毛
今夜ばかりは… 今夜ばかりは
酔うに酔えない わかれ酒

口に出したら 言葉にしたら
ほろり本音が こぼれそう
浮草 水藻の かくれ花
倖せなんて ぬくもりなんて
これでいいのさ… これでいいのさ
そっと吹き消す 夢灯り

港 路地裏 ここから先は
恋も涙も 行き止まり
冷たく背中を 向けたけど
背中で詫びて 心で泣いて
今度逢えたら… 今度逢えたら
ましな男で また逢おう


5.目ン無い千鳥

作詞:サトウハチロー
作曲:古賀政男

目ン無い千鳥の高島田
見えぬ鏡にいたわしや
曇る今宵の金屏風
誰のとがやら罪じゃやら

千々に乱れる思い出は
すぎし月日の糸車
回す心の 盃に
紅はさしても晴れぬ胸

雨の夜更けに弾く琴が
白い小指にしみてゆく
花がちるちる春が逝く
胸の扉がまた濡れる

目ン無い千鳥の さみしさは
切れてはかない琴の糸
青春の盛りの若い葉に
むせび泣くよなこぬか雨


6.涙のパクタル峠


7.哀愁平野

作詞:水木れいじ
作曲:筑紫竜平

一生いちどの いのちの恋が
風にちぎれる 茜空
このまま行こうか 戻ろうか
離れてなおさら 逢いたさつのる
愛し面影 夜汽車の窓に
どこへさすらう 哀愁平野

ひと足遅れて 君来るようで
途中下車する 北の駅
このまま行こうか 戻ろうか
いまさら待っても どうなるものか
街の灯りも あの日のことを
思いださせる 哀愁平野

死ぬほど愛して 死ぬほど泣いて
君に残した 置き手紙
このまま行こうか 戻ろうか
いまさらみれんに 燃えたつこころ
なごり尽きずに あと振り向けば
星が流れる 哀愁平野


8.雨の永東橋

(ヨンドンキョ)
作詞:たかたかし
作曲:南国人

雨の永東橋は思い出ばかり
傘をさしだす人もない
心がわりはつらいけど
忘れられない 女がひとり
あなたの靴音 追いかける
未練 未練 未練…雨がふる

雨の永東橋は 噂もぬれる
酒のグラスに残り紅
泣いたあの日の傷あとが
酔えばせつなくわかれを責める
あなたを信じてつくしたわ
未練 未練 未練…雨がふる

雨の永東橋に 流れる灯り
恋も流れて消えてゆく
つかみきれない しあわせに
肩でため息 女がひとり
あなたに逢いたい すがりたい
未練 未練 未練…雨がふる


9.さざんかの宿

作詞:吉岡治
作曲:市川昭介

くもりガラスを 手で拭いて
あなた明日が 見えますか
愛しても愛しても あゝ他人(ひと)の妻
赤く咲いても 冬の花
咲いてさびしい さざんかの宿

ぬいた指輪の 罪のあと
かんでください 思いきり
燃えたって燃えたって あゝ他人の妻
運命かなしい 冬の花
明日はいらない さざんかの宿

せめて朝まで 腕の中
夢を見させて くれますか
つくしてもつくしても あゝ他人の妻
ふたり咲いても 冬の花
春はいつくる さざんかの宿


10.冬陽


11.路傍の花

作詞:なかにし礼
作曲:猪俣公章

酒場ぐらしの 路傍の花に
幸せ運ぶ 季節はないの
あなたがくれた 婚約指輪
今じゃ光も 色あせたけど
何故かはずせぬ 薬指

つくり笑顔の 路傍の花が
売るのは嘘と 一夜の夢よ
真心だけは 売らぬつもりが
恋にすがって けずられちゃった
涙ひとつぶ カウンター

ほこりまみれの 路傍の花は
心のしみを 涙でおとす
今夜で一つ また年をとる
誰も祝って くれないけれど
やけに酔いたい 誕生日


12.女のグラス

作詞:白鳥園枝
作曲:市川昭介

お酒はあんまり 飲めないけれど
あなたの情けに 酔いたい私
やさしい背中に もたれていると
あなたと暮らせる 幸せほしい
女の夢よ 幸せほしい

あなたが恋しい 毎日だから
涙を浮かべる 女のグラス
淋しい想いよ しっかり抱いて
はなしはしないと いわれてみたい
一度でいいの いわれてみたい

あなたの前では 素直になれる
かわいいひとりの 女になれる
逢えない暮らしは せつないけれど
いつかはお願い かなえてほしい
女の夢を かなえてほしい


13.雨の港

作詞:たかたかし
作曲:遠藤実

別れりゃ他人のはずなのに
からだがあの人おぼえてる
お酒くち紅港の酒場
雨の降る夜は恋しくて
だめね女はひとりじゃ眠れない

やさしく抱かれたあの夜の
着物で今夜も酒をつぐ
霧笛ほつれ毛東京なまり
わかれ演歌に泣けてくる
酔えばつらいわむかしにまた戻る

あれほど怨んだ人なのに
いいことばかりを数えてる
涙ため息哀愁みなと
船でゆく人かえる人
明日は私にいい夢つれて来い


14.再会

作詞:たかたかし
作曲:市川昭介

風にふるえる 赤提灯で
思いがけずに 出会ったおまえ
夢という名の 男の身勝手で
泣かせた昔の ああ…女
別れ傷あと 冬酒場

きっと苦労を しているんだね
細い襟足 後れ毛ひとつ
問わず語りも 飲むほどしんみりと
昔のふたりに ああ…もどる
未練おもいで 夜の路地

駅の灯りが ポツリと見える
風に小雪が いつしかからむ
過去という名の 時間はもどせない
黙って見送る ああ…女
心残して 冬酒場


15.二人の旅路

作詞:麻こよみ
作曲:四方章人

そぼ降る雨の 冷たさに
震えるおまえの 肩の先
哀しい噂が 立つ前に
逃れたふるさと あの町よ
離れられない 離さない
命みちづれ 二人の旅路

窓打つ夜風(かぜ)の 音にさえ
涙でおびえる 仮の宿
悔んでないかと 抱き寄せりゃ
微笑(ほほえ)むおまえの いじらしさ
泣かせたくない 泣かせない
夢も濡れます 二人の旅路

ひとつの傘に 身を寄せて
人目に隠れて つなぐ指
小雨にうつ向く 川柳(かわやなぎ)
似たよな運命(さだめ)か この恋も
離れられない 離さない
明日へさ迷う 二人の旅路


16.はぐれ舟

作詞:志賀大介
作曲:伊藤雪彦

今日も誰かが 泣いている
泣けば涙の 川になる
荷物降ろした 男の背中に
吹いて寂しい すきま風
灯りひとつぶ 灯りひとつぶ はぐれ舟

往けばかえらぬ 片瀬波
今じゃ噂も 届かない
未練面影 ちらつくたびに
胸に注ぎこむ わすれ酒
どこへ流れる どこへ流れる おとこ舟

生きたあかしの傷の跡
思い乱れて 夜も更ける
岸を離れて さまよう俺に
縋る哀しい ひと夜花
よせよいまさら よせよいまさら はぐれ舟